もうひとつの旅立ちの日。

午後1時半出発に向けて、

忘れ物がないように、最後の準備をしました。





あと数時間後には、ソランが見えなくなってしまう・・・。

そう思う度に泣いていましたが、

このままではソランが可哀相だという思いもこみ上げてきていました。






昨夜はソランとずっといろんな話をしました。

そして

ソランの感触を忘れないために、

目を閉じて、ソランの身体、手足、頭、耳、頬、鼻筋、口元を何度も何度もゆっくりと撫でました。

この感触を、頭に、心に、手に忘れずに残しておこう。














ソランを見送るために、家族が集まってくれました。

みんなで、ソランの旅立ちのための支度をしました。





姉が、15年間頑張ったソランのためにと作ってくれたメダルを、ソランの首にかけました。

がんばったで賞 受賞いたしました。。。






皆で折り鶴とお花をソランのまわりに飾りました。

ソランの棺には、家を出る時に、既にたくさんの折り鶴が入っていましたが、

みのりたちがその後もずっと折り続けてくれていたという、ものすごい数の折り鶴が加わって、棺が折り鶴でいっぱいになりました。

私の希望で、顔の回りは、お花で飾りました。

そこに、姉が、「ソランズは水色」と、たくさんの折り鶴の中から、水色の折り鶴をとり、

顔周りのお花の間に、バランスよく飾ってくれました。

ソランはとっても可愛く、天使のようでした。





ソランの上半身は、淡い色のお花と、水色の折り鶴で、とても愛らしく、

下半身は、カラフルな色鮮やかな折り鶴に囲まれ(本当は埋もれてという表現がピッタリですが・・・)、

なんだか2色弁当のようになってしまいましたが、

心のこもった旅支度をしてもらい、ソランは嬉しかったと思います。

本当に、たくさんの愛と幸せが詰まった棺でした。

その棺という名の乗り物に乗って、1時30分に空へ出発していきました。















待合室に案内されましたが、じっと待っていられるはずもなく、

空を見ながらソランを見送るために外に出ました。






セミがミンミンと大きな声で鳴いていました。

ぎらぎらと照りつける日差しを受け、いつの間にか夏本番になっていたことに気づきました。

一緒に外に出た妹と、空を見上げながらソランのことを話していました。






すると、突然ピューっと風が吹き、妹が手に持っていた紙がバタバタとたなびきました。

「ソランが吹かせたのかな?」

と、私は妹に言いました。

と、同時に、空を見上げると、

私たちの頭上から、太陽に向かってスーッとひこうき雲が伸びていく光景が目に入りました。




鳥肌がたちました。




ひこうき雲は、高く高く、太陽を越えて上がっていきました。





「ソラン、今行ったんだね。。。」

「無事に行けたんだね。。。」と、

その場にいた妹と、義弟と、みのりと興奮して言葉を交わしました。







その時に慌てて撮った写真です。











こちらは、みのりが撮った写真です。








ソランは、元気よく

「いってきま〜〜〜す!」と、伝えてくれたのだと思いました。






カメラのデータを見ると、この写真を撮影した時間は、14時07分でした。

ソランが空に到着するまでにかかる時間は、40分と伝えられていましたから、

ちょうど、ソランの身体が全て空に向かっただろうという時間でした。





「あの突然吹いた風は、たくさんの鶴たちが一斉に羽を広げて飛び立った瞬間に起きた風だったのかもしれないね。。。」

そんな風に想像してしまうくらい、とても不思議なタイミングで起きた出来事でした。

この出来事のおかげで、ソランは無事に空の町へ到着できたのだと安心できました。








ソラン

ソラン

あの時、くよくよしてる私を救ってくれてありがとう。。。

今は元気な身体で、みんなと走り回っているんだよね?

でも、ちゃんと私のところに帰ってきてくれてるよね?

そう思うと、笑顔になれます。






ダッシュ!




ダッシュ!ダッシュ!




絶好調! グフフ♪